s@nuk asia

 「ジャワ島へ行った事ある」と言うと、たいていの人は「じゃぁ、あそこ行ったんでしょ?」と言うので「ボロブドゥール?行ってないよ」と答えると「勿体無い!信じられない!」と言う。
 
 その気持ちは解らないでもないが、私にとっての遺跡とはさほど重要な物ではない。
でもなぜか、それを口に出して言う事がはばかられる。
「海外へ行ったら遺跡を見なければ!何の為に行ったの?」という空気を感じるのだ。
 そりゃぁ、まったく見たことがない訳ではない。
はじめてツアーでインドへ行った時はアグラにあるタージマハ−ル廟を見たくて行ったのだから。
そして、それはとてもがっかりだった。念願のタージマハ−ルが、がっかりだった。
色々な人が書いているが、本当に「写真とそっくり!」だった。それ以外の感想はなかった。
それよりも衝撃を受けたのは駅の構内で眠る人、路上で生活をしている人、遺跡や名所の周りにいる商魂たくましい人々。楽しかった事は憧れのタージの写真を撮る事ではなく、ほんの少しだけ街を歩かせてもらえた時に、何枚か街の人々の写真を撮った。それがとても楽しかった。
 
 私にとって重要なのは、どんな人間と出会ったか、どんなに美味しい食べ物に当たったか
という事だ。タージ以外にもいくつか遺跡を見たが、記憶には殆んど残っていない。
写真も撮らない。撮ってもたまたまそこにいた人や動物。
遺跡の写真は、綺麗な絵葉書やガイドブックがあるので撮らなくても良いと思っている。
 そんな訳で海外旅行好きというと「エジプト(ピラミッド)行った?行ってみたいよね〜」「カンボジア(アンコールワット)も行きたくない?」と同意を求める人がいるが、大体ナマ返事だ。
観光名所を巡るよりもその土地の市場へ行きたいと思う。

 だが、そんな私にも、嬉々として写真撮りまくりな観光名所があった。
聞く所によるとそこはもう閉鎖され、取り壊されて跡形もないという。
そこは香港、タイガーバームガーデン。
 人知を超えた極彩色のオブジェがぎっちり詰め込まれたタイガーバームガーデン。
それとよく似た物がある場所があった。
 ミャンマーのお寺だ。そこでもなぜか嬉しくて、沢山撮った。
金ぴかの仏像が好きなのだがミャンマーのお寺にある妙に色白の人間の像もとても良かった。

 でも、それらの事は解ってもらえそうもないのであまり大きな声では言えない。
だから秘密にしている。

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