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ぼったくりならまかせとけ
 旅先でちょっとしたトラブルはつきものである。殺人や飛行機事故などは、
そうそう頻繁に遭遇するものではないし、あっては困る。
しかし、すりや置き引き、ぼったくりなどは、場所によっては結構日常茶飯
的に起こる。
ぼったくりが犯罪の範疇なのかどうかはわからないが、後味が悪いのは言う
までもない。
意外なことに、韓国でぼられた経験をもつ人が多い。
例えばタクシー、屋台、なんと靴磨き。
タクシーは、かつて景気が良かった頃、相乗りが当たり前だった。同じ方向
に向かう客をどんどん乗せてしまうのだ。
近寄ってきたタクシーに大声で行き先を告げる。こんな芸当は旅行者には無
理だ。目的地の発音の練習をしているうちに、タクシーは去ってしまう。
そんな時代に、ホテルにたむろしているタクシーは、相乗り不能な外人相手
に、メーターを使わず、つまりは相場よりかなり高い金額を要求して営業して
いたのだ。
タクシー代が極端に安く、運転手の収入が低いのも一因だったようだ。
政府も度重なる苦情に重い腰を上げ、「模範タクシー」という新しいタクシ
ーを作ってしまった。
これは自動車自体も高級だが、運転手の質にもこだわり、メーター通りの金
額しか受けとらないようにした。相乗りもだめ。これって当たり前のことなの
だが。
普通だったら悪徳運転手の教育をするべきなのだろうが、結果として模範タ
クシーは一般のタクシーの2倍〜3倍くらいの料金で登場し、観光客の評判も
上上だった。
今では景気が悪くて、一般のタクシーでも簡単に拾えるようになり、なぜ2
種類のタクシーが存在しているのか、首をかしげる人も多い。
屋台だが、これは曲者だ。
屋台にはメニューがない。あとで高い高いとわめいてみても、「ウチは高い
のよボク」といわれたら返す言葉がない。
ホテル近くの屋台は要注意で、結構韓国人ビジネスマンも被害に遭ったりし
ている。
対策としては、注文をする度に値段の確認をすること。そして得体の知れな
い、もしかしたら本当に高いのかもしれないものは食べないことだ。
ソーメン一杯食うのにいちいち値段を訊くしみったれた日本人は、ちょっと
軽蔑というか、苦笑いされる対象となるが、ぼられるよりかはいいでしょう?
さて問題の(どこが?)靴磨きである。
群馬県のEさんは渡韓歴30回の、言ってみれば韓国通である。
今回は地元の人たち10名で、29,800円のツアーでソウルにやってき
た。
2泊3日の中日はフリータイムである。男性1名と女性2名を連れて、明洞
(ミョンドン)という繁華街に買い物に出た。
ロッテデパートや免税店も近くにあるが、ソウルっこの集まる商店街が、活
気もあって面白い。韓国がはじめての3人はEさんの後について、ちょっと興
奮気味にハングルの看板を眺めながら歩いていた。
そんな街角に小屋があり、中で2人の男が靴磨きをしていた。
たまたま全員革靴を履いていたので、Eさんの提案で靴を磨いてもらうこと
になった。日本で靴磨きのお世話になったことがないのに、やはりこれは海外
旅行特有の開放感のなせる業ということだろうか。
韓国の靴磨きは、靴を脱いで磨いてもらう。店のサンダルを借りて、丸椅子
に座って待つこと20分。購入したとき以上にピカピカに仕上がった。
「オーワンダフル、ところでおいくら?」「4足で20万ウォン」「?」外国
の通貨は計算しづらいものだが、韓国のように大きい単位の通貨は尚更だ。
それにしても「1万ウォンが約千円だから...20万ウォンは...日本円で
2万円!?」というわけで1足5,000円もすることが判明。
金を払わずに逃げるという選択肢があったが、なにせ自分の靴は相手の手中。
今履いているサンダルはどう見ても200円だ。
それにしてもわれらは29,800円でソウルに来たのだ。ここはひとつ戦
わねばなるまい。同行の美女2人も自分の一挙手一投足に熱い視線を送ってい
る。そうだオレにはラグビーで鍛えた体があるではないか。声もでかいし、顔
もでかいぞ。
韓国人だって負けてはいない。
韓国人の喧嘩を見たことのある人ならお判りと思うが、彼らはものすごく大
きな声で言い争う。ただめったに暴力沙汰にはならない。
ぼったくりマンといえども言うべきことは言う。かれこれ30分も言い争っ
ただろうか、12万ウォンで決着がついた。
これだって高いのだが、さすがの体力自慢のEさんも、もう精根尽き果てた
ようだ。
料金を払い、気を取り直してウィンドショッピングを続ける一行。
なにげなく覗いた靴屋に貼ってあったセールの案内。紳士革靴が2足で59,
000ウォンだった。

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